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欲に目が眩んだ日

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痛い思いはこれまでの人生でいろいろと経験してきたが、その都度すぐに忘れてしまう。嫌な記憶や都合の悪いことを処理して前へ進む。忘却とはよくできた脳の機能だと思う。

俺の場合、この忘却機能がとりわけ優れているようだ。人を信じて裏切られた経験など、60年間で思い出せるのはたったの1、2回だ。それだけ聞けばよほど恵まれた人生に聞こえるが、実際は「そもそも裏切られても気づかない」おめでたい性格のせいかもしれない。

ただ、1年ほど前の出来事だけは今もはっきり覚えている。欲に目が眩んで、見事に痛い思いをした話だ。

どうしても観たかったサッカー日本代表戦。ネット放送サービスに「月払い・年払い」の選択肢があったので、月払いを選んで1ヶ月だけ契約し、観戦後すぐに解約するつもりだった。月980円……映画館より安いと思った。

ところが解約手続きが見つからない。サポートセンターにメールで解約希望を送ったものの、翌月もクレジットカードから引き落とされた。問い合わせると「解約完了の通知メールを提示してください」と言われたが、そんなメールは届いていない。送信した解約リクエストのメールを証拠に粘ったところ、ようやく返ってきた答えは「解約手続きは承ります。ただし、年間契約の残り期間はご利用いただけます」ときた。

「月契約したはずでは?」と確認すると、「月払いの年間契約です」と言う。つまり最初の3ヶ月は980円、4ヶ月目からは2,600円が毎月引き落とされる、1年縛りの契約だったのだ。総額2万円超!飛行機に乗ってスタジアムまで観に行くのと変わらないコストを、たった90分の試合のために払い続けることになった。

1年後、ようやく解約を確定させてほっとしたのも束の間、今度はサッカーワールドカップの全試合がそのサービスだけの独占放映だという。同じ手口で、同じ宣伝をしている。案の定、俺と同様に頭にきた人が続出し、Yahooニュースではその会社が謝罪したと報じられた。

世の中には、携帯の回線契約をはじめ、意図的に複雑に設計され、簡単には解約させない仕組みが溢れている。やり方が汚いのは確かだ。だが正直に言えば、確認を怠った自分にも落ち度はある。欲に目が眩むと、正確な判断ができなくなるということなのだ。

この件だけは忘れなかった。よほど頭にきたのだろう。強い怒りはやはり忘却に勝てる感情なのである。

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犬と暮らしとカヤックと

kayaker

豊浦町でワンコたちと暮らし、たまに海で遊ぶ日常をつづります。

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