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詐欺に油断すべからず

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90歳近くなるお袋から「北海道から何を送ったの?」と電話がかかってきた。宅配会社からの不在通知を装ったショートメールが届いて俺からの荷物だと思ったらしい。ふむふむ。これはよくあるSMS詐欺の宅配バージョンだ。こうして罪のない人の個人情報を抜き出す輩の仕業である。

お袋には「送ってないよ。それは詐欺だから無視して。こういうのに気をつけないといけないから用心してね。」と注意喚起をした。年寄りは騙されやすいから本当に心配である。

考えてみると詐欺というのは太古からある商売だろう。詐欺メールなどは元手はほぼいらない実にコスパのいい商売だ。

以前、全国的に流行したオレオレ詐欺が世間に知られるようになると、詐欺師たちは還付金詐欺、預貯金詐欺、架空料金請求詐欺と、次々に新手の詐欺を繰り出してきた。それと同時に、古典的な詐欺も未だに通用しているのか、たまにメールの迷惑フォルダを見ると、自動的にフィルタリングされた詐欺メールは懐かしいものも含めて1日に何十通にも上る。

そういえば昔、アフリカからのメール詐欺が流行ったことを思い出した。

ナイジェリアやコンゴなどの政府高官の息子が賄賂などの不正資金を数億円単位で隠し持っていて、それを資金移動したいから協力してくれないかと、いかにもあっちでありそうな話を持ちかけてくる。それで「最初に手数料を負担してもらうが、資金が自由になったら何パーセントかを報酬として支払う」というもっともらしい内容のメールが来るのだ。そしてこの手の詐欺メールは、まるでウイルスが変異するように様々なバージョンのメールが送られてくる。ある時は政府高官。またある時は投資家だったり・・・。よくもそんなもっともらしいストーリーを思いつくなと逆に感心したものだ。

こんなの引っかかるやつがいるのかなと思ったが、メールならば無数にいつまでもばらまいてもコストはかからない。詐欺師からすれば、全世界で100人に1人、いや、1000人に1人くらい引っかかれば元もとれるのだろう。昔と違って今は、配信から自動返信、果ては文章作成まで、AIも手伝って勝手に仕事をしてくれる。騙す側からすれば、この手の詐欺は随分とコストパフォーマンスが良くなっていると思う。

ただ、最近はGoogleのGmailなどでかなり精度の高いフィルタリングがされるので、明らかに詐欺と分かるメールは滅多に見ることがなくなって久しい。

こんなに詐欺の情報共有ができる時代なのだから、詐欺師も商売上がったりのはずと思うのだが、実際には被害届が出ているだけで、未だに年間何十億円もの詐欺被害があるそうだ。本当に信じられない。

人を騙すには情緒に訴えるのが常套手段だ。詐欺師は相手を脅したり、甘い夢を見させたりしながら、心の隙に巧妙に入り込んでくる。人は本来、理性よりも恐怖と欲が優先して行動するものなのだ。

以前は騙される人は自己責任だからどうしようもないなと思っていたが、最近、実は俺自身が最近まさにその罠にかかりかけた。

ショートメールで、WhatsApp(日本でいうLINEのようなアプリ)に関する警告文が入ってきたのだ。普段はあまり使わないアプリだが、海外では最もメジャーな通信手段で、俺は時々使う機会がある。

その内容は「アカウントに重大リスクを検出。今すぐ確認を」という警告であった。

WhatsAppからの連絡なので、何の疑いもなくリンクをたどると、WhatsAppによるトラブル処理の手順が示されていた。俺はあまり深く考えず、そのまま処理を進めたのだが、ふと「何かおかしいかも?」と気づいて、再度届いていたSMSをよく見ると、なんと送り主はwhatsappのはずがwhatspp(aが1つ足りない……)となっているし、リンク先もhelp-whatsopp.comと「whatsappがwhatsopp」になっているではないか……つづりが……違う……😫

いやいやいや……スマホだと字が小さくてよく見えなーい!

俺は、ふと、これはまさしく中学時代にサッカー部界隈で流行っていた、adidasの本物とadidosの偽物バッグと同じだと思い出したのである。

昭和の時代。adidasがadidosになっているこの手のバッグが多く出回っていた
画像はhttps://jp.mercari.com/item/m46212427816より

いやいや、危なかった。
途中まで指示通り事を運びかけて、愚かにも接続までしてしまったが、気づいてすぐに切断、ログインの認証を厳しくすることでセーフ。相手は「2分以内に再接続しないとアカウントが凍結しますよ」と警告してきた。危うくアカウントを乗っ取られるところだった。

だが、俺のようにIT関連業界に長く携わっている人間でさえ、油断するとこうもいとも簡単に騙されるのかと思うと、この手の詐欺、普通の人ならば騙されてもしょうがないよなと詐欺の認識を新たにしたのである。

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犬と暮らしとカヤックと

kayaker

豊浦町でワンコたちと暮らし、たまに海で遊ぶ日常をつづります。

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