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伊勢参り 5(マー坊の店)

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マー坊は俺の弟の相棒であり、本当に優しくていい男である。
弟は生前に「マー坊とは肉体関係だけは持たなかったがあとは全て一緒にやった。」と冗談をいうくらいの、まあいわば弟のソウルメイトであり、彼の弟分だったのだろう。ということはつまり俺の弟ということにもなるのかな。笑

2025年1月スペインにてマー坊

あの時、マー坊は弟の最期に立ち会うために日本から急いで駆けつけて、俺とカミさんと一緒に弟を看取ってくれた。駆けつけてくれたとき、弟は麻酔で寝かされていたのに、マー坊が来るとまるで彼を待っていたかのように、一瞬足をバタバタさせ、それからまもなく安心するように逝った。((続)あいつとの32年間の空白を埋めるために(10 最終))どんな縁でつながっていたのだろう。だから弟がスペインに来てから、彼との出会いによっていかに人生が豊かになったかは容易に想像できる。
マー坊とは、とにかくそんな人物だ。

JR伊勢市駅から歩いて5分くらいのところにあるお店

その彼は5-6年前にスペインを離れた。その理由のひとつは日本人の女性と結婚したいということだった。その後、彼は地元の伊勢で焼き芋を売りながら商売をはじめ、あすかさんという素敵な子と無事結婚をした。弟はその後2年ほどひとりでスペインの店を切り盛りしていたが、その後病気になって店をたたみ、日本で療養していた間に伊勢の彼のところを2回尋ねている。

弟亡き後、一度彼の店に行ってみたいと思っていたが、今回こうしてやっと実現できたのだ。

店のカウンターにはところ狭きとボトルが並ぶ

彼の店は宿からすぐにそばだった。
回転早々に尋ねていくともうパエリアを店頭で作り始めていた。
お互いに再会を喜んだのだが、店の前で彼の店の常連さんの一人とマー坊の話になった。その後いろいろと話が発展してしまい、20分以上店の外で話し込んでしまった。

いきなり常連さんと話し込むことになり、少々びっくりしながら店に入るとやっと店に入れた俺をマー坊が歓迎してくれた。「いやー、よくきてくれましたー」とあの調子で喜んでくれた。
すぐに常連たちが次々に入店してきたが、俺もカミさんもなんかその常連さんたちとすぐに意気投合し、本当に楽しい時間を過ごした。
こんな素晴らしいお客さんに恵まれているんだなあ、と俺は本当に安心した。

加工肉を趣味で作る常連さんが持ち込んだベーコン。最高にうまかった!
ナチョス
自慢のパエリア。自慢するわけだ。うまい。

いろいろな話で盛り上がっている中で、ひとつ不思議な話があった。
あるとき、マー坊の店に非常に霊感の強いお客さんが来たときのこと。
そうしたらその人、「今、頭のボワッとなった人が横にいますよ」とカウンター越しのマー坊に言ったというのだ。それはまさに弟じゃないか!とマー坊もびっくりしたらしい。
この日、弟の分のグラスも用意して彼も一緒にこの楽しいひとときを過ごしていたつもりだったが、多分この日も弟も来て話を聞いていたんじゃないかなと思った。おい、弟よ、聞いているか?

そうして結局4時間以上店にいただろうか。
あっという間に時が過ぎ、我々はマー坊とあすかちゃん、そして常連のみなさんにも別れを告げながら店をあとにした。ナカイさん、タカちゃん、かんちゃん、てつさん、みんなありがとう。また会いましょう。それから伊勢を訪れる方、どうかこのお店をお立ち寄りください。

伊勢に素敵な仲間たちができた

楽しいひと時を過ごして宿に戻る。
すると娘が銭湯に行きたいといいだしたので、みんなで宿から歩いて10分ほどの銭湯に行った。
久しぶりの銭湯だったが、電気風呂で死にそうになった。

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犬と暮らしとカヤックと

kayaker

豊浦町でワンコたちと暮らし、たまに海で遊ぶ日常をつづります。

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