ブログ閉鎖中の話題(2018年8月10日)
誰でも人生には、いつかは終りが来る。これだけは避けられないことだ。
そうなると終盤をどう過ごし、そしてどこで、どうやって最後を迎えるのかの重大な決断が必要になる。
アルツハイマーになってしまい周りに迷惑を掛け放題で逝くのか、静かに1人で誰にも知られずに逝くのか、病院で要らぬ治療を受けさせられて逝くのか、そう考えると暗くなってしまう。
(今回の漫画はアメリカに住む女房の従弟の建築家が書いた。彼は母親の葬儀のために日本に来て、その様子を帰国後に漫画にして送ってくれた。)

マンションのジジイ達と顔を合わせると、いつもこんな話になる。
なにしろ先に希望が無いのだから、前向きな話は出ようがない。
久し振りにマンションの出口で会う人は、私が引越して来た7年前よりみんな老人になっている。
歩き方もヨチヨチになり気の毒だが、私はああはなりたくない。

勝どき駅近くの和食店に家族で行った時に、店の向かい側に新築のケア・マンションがあった。
ドアから中を覗いたら、かなり清潔な感じがした。
横を見ると、パンフレットが置いてあったので、それをもらって帰った。
自分のためではなく、同じマンションで1人暮らしをしている「ばあちゃん」のためである。

「ばあちゃん」は神奈川県に姉が1人で住んでいるが、いずれ2人で住みたいと言っていたのを思い出し、このケア・マンションに2人で住めば良いと私は勝手に考えたのである。
パンフレットには「見学会の案内」が出ていたので、「ばあちゃん」の希望を入れて電話で予約した。
そして詳しいカタログを送ってもらった。

送られて来たカタログを見たら、1ヵ月の費用は食事無しで30万円くらいになる。
「ばあちゃん」はお金にはシッカリしていて、「少し高過ぎる」と言って、興味が無くなったようだった。
でも見学会の予約をしてあるので、なだめながら女房と3人で見学に行った。
入り口にはケア・マンションの営業マンが待っていた。
「成約は間違いない」という顔をしている。

案内は若い女性で、館内をくまなく見せてもらい、その後、3人でランチとする。
その時の「ばあちゃん」の感想。「天井が低い」、「サービスを大げさに言うが、今とあまり違わない」、「家賃が高過ぎる」、「低層の建物なので、見晴らしが悪い」、「夜はサービスをセコムに依頼しているので、自分でセコムに頼んだ方が良い」など、否定的な話ばかりだった。

見学した結果、結局は「ばあちゃん」はケア・マンションには入らずに、今のままで過ごすと決めた。
現在、「ばあちゃん」は84歳だが、彼女は私の女房に言っている。
「もし奥さんが私より先に亡くなったら、私がご主人の面倒を見ますからね」。
ばあちゃん!、勝手に決められても困る。
私は「ばあちゃん」の世話になんかなりたくない。「ばあちゃん」は何歳まで生きるつもりなんだろう?

おまけの話)
親戚の叔母さんが亡くなり、しばらくしてから香典返しが「ゆうパック」で届いた。
開けてみたら、香典返し用の立派なカタログが入っていた。
食事券、電化製品、毛ガニなどの食品、旅館宿泊券、アクセサリー、時計、牛肉など、なんでもある。
この中から好きなものを選んで、ハガキに希望を書いて送ると品物が届くようになっている。

私の小金井の友人にFさんという人がいた。彼の商売がこの「香典返し屋」であった。
彼は中学を出て上京し、色々な職業を経験した後に香典返し屋に勤めた。
そしてそこでノウハウを身に着けて独立し、仏壇屋も併設し、その近辺では大手にのし上がった。
昔は香典返しと言えば、タオル、タオルケット、お盆、夫婦茶碗などの実用品が多かった。

その内に香典の金額に応じたカタログを送り、その中から選ばせるという香典返し商法が出て来た。
なんだか本来の趣旨から外れているように感じたので、私はFさんにアドバイスした。
「香典返しは要らないものばかりで、いつもバザーに出してしまう。毛ガニとか、豪華な食品を載せたら評判になるよ」と言ったら、彼は私の意見を採用してくれた。
それ以来、どこでも香典返しに食品が登場するようになったと思う。そんなFさんも、今は脳梗塞で寝たきりとなっているらしい。

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