■木下サーカス2017
5年ぶりに木下サーカスが札幌にやってきた。
わたしたちの自治会では8月初旬に、バスを仕立てての一日サーカス見物の旅行が計画された。
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夏休みの子供たちも参加して、総勢40名での楽しいバス旅行であった。
会場の旧月寒ドームには少し早く着いたので、バスの中で待機して、午後の部の開場を待つ。案内された団体席は、左側にテントを支える巨大な支柱があり、みんな少し右側によけて座る。空中ブランコなどの支えになる巨大な支柱が何本かで巨大テントを支え、サーカスのアトラクションを行う場を作る。
ピエロの二人が出て来て、会場内を動き回り観客を笑わせるところから、サーカスは始まる。会場内は撮影禁止なので、ピエロが演技している比較的明るいうちにスケッチをしておこうと思い、ペンを走らせた。支柱が目立って目が行くが、少し省略して会場内を描く。やがて本格的なアトラクションが始まると、場内の照明は落ちて暗くなり、スケッチは中止して演技に見入る。
初めの空中ブランコから始まり、傘を回したり、何本も立て重ねたりの演技、10本くらいの輪をフラフープのように体の各部で全部回したり、イスを何個も積み重ねた上で逆立ちをして見せたりのハラハラドキドキの演技もあった。赤や黄や青のサーチライトが場内を巡り演技する人を追う。このきらびやかさがサーカスである。
4頭のシマウマが登場。丸い場内を駆け巡る。何もない大きな箱から美女が登場したり、反対に箱に入って消えてしまったりのマジック。昔言葉で云えば手品であるが、いまはイリュージョンと云うらしい。途中15分の休憩時間に猛獣ショーのための鉄柵が素早く場内に設置された。4頭のホワイトライオンをはじめライオンたちが小さなイスに座ったり、ジャンプを見せたり、“ワォー!”と大きく口を開けてライオン使いのおじさんを威嚇して見せたりもする。
このサーカスの見世物の一つは、両端に人が入れる大きな輪を設けた10mくらいの長さの金属製構造物が、ぐるぐると回る。真ん中あたりで軸支して、人が両端の輪に入って回転力をつけると勢いよく回り出す。人は輪の中で、あるいは輪の外に出て、ひやひやドキドキの動きをするのである。演技自体もスリル満点なのだが、この構造物を短時間で演技場の中にしつらえてしまうチームワークも見事である。テントを支える基本構造物の柱から伸ばしたワイヤロープをピンと張って、回転軸を支えていた。
猛獣の檻のセッティングと回収も素早かった。その他のアトラクションでも用いた道具やシートなどの片づけ、清掃なども数人の係りの人が素早く、要領よくやって、演技の時間を止めていなかったのは感心する。
わたしたちから見て演技場の左手奥に、5,6mの直径の金属のかご状の球体がしつらえられている。オートバイの演技をする代物である。この球形の中に入ったオートバイはアクセルを噴かせて最大のスピードを出して球の内側の壁を回る。水平になったり天地逆になったりしながら回る。もちろんスピードを上げて、遠心力によってそのような姿勢になっても壁に引っ付いているわけである。最大3台のオートバイがこの球形の中に入り、互いに交差しながら、すごいスピードで走り回る。オートバイに取り付けた華々しい光源が光り、何色ものサーチライトが追い、爆音が響きわたり、排気ガスが煙になる。かごの中には二人の出入りをサポートする人間がいて、この人たちをよけながら、猛スピードで駆け巡る。これも迫力満点の出し物であった。
最後のサーカスの華は、空中ブランコである。総勢10名くらいのメンバーが2か所に分かれて、高い場所でブランコを始める。片方が空中で手を放して飛ぶと、もう片方がその手をキャッチして、二人で空に舞う。そして戻りでは、再び元のブランコに飛び移るという、下から見ている者に、何ともハラハラとしてスリルを感じさせる。やはりサーカスのフィナーレを飾る華といえるアトラクションである。
5年目で再び見ることが出来た“木下サーカス”。また5年経ったら札幌公演があるだろうか。子供から大人までが等しく楽しめるサーカス。今回も「面白かったなあ」という思いを持てた。
(2017-8-16記)