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[2019.10.21]
■秋田湯沢・小安峡紀行
秋田県南部の湯沢市の小安峡(おやすきょう)を訪れた。  
湯沢市の全域がゆざわジオパークになっていて、小安峡はその中でもジオパークの目玉の一つである。  



皆瀬川が長い年月をかけて刻んだV字谷は国道から60mの深さに及び、その底の河原からは熱水や熱い水蒸気が噴き出している場所がある。峡谷にかかる橋の上から下をのぞいた。深い谷の下に瀬があり、岩合から白い蒸気が登っている場所が小さく見える。われわれはこれからあの噴気の出ている場所まで下りていき、間近で噴気を眺めることになる。  
ゆざわジオパークのパンフレットやホームページから、この地域が出来てきた歴史や魅力に触れてみたい。  
*ゆざわジオパークは約9700万年前の神室山花崗岩類を基盤とし、幾度とない火山噴火や、長い年月をかけて大地を侵食した水の働きが克明に刻まれている。  
一見するとゆざわジオパークに火山は無いように思われるが、かつて東北の大地を創りあげた火山は今も「見えない火山」として活動を続けている。地中深く息づくこの活動は、湯沢の豪雪がもたらす豊富な天水と出会い、“湯沢”の名が示す通りの潤沢な温泉や、大噴湯(だいふんとう)といった自然の驚異として地上に姿を現している。それはまさに、「見えない火山」を実感できる場所と云える。  
そして、そのような大地の営みのうえに築かれた人間の営みに触れられるのも、このジオパークの大きな魅力である。鉱物資源(例えば院内鉱山からとれた銀など)や湧水といった大地の恵みは、銘酒に代表される湯沢市の産業に結び付き、さらに未来に向けて「地熱」という大きな可能性を与えてくれている。(現在地熱発電所として、上の岱発電所、山葵沢発電所が稼働中で、その他2地域でも調査中ということである)*  
峡谷の崖に沿って階段道を下ると、峡谷の沢に沿った遊歩道がある。下から仰ぐと、岩壁の上に緑の木々が繁り、赤い橋がかなり上の方にある。進むにつれて白く噴き出している蒸気に近づき、道が蒸気で濡れている。軽く蒸気や岩肌に触ったが、思わず手を引っ込めるくらい熱いところがあった。不思議な景色である。岩や木々が作る深い峡谷は日本には多くあるだろうが、その峡谷の一部の岩の割れ目から熱い蒸気が噴き出している景色は初めて見た。これから迎える紅葉の季節や、冬の雪が付いたとき、あるいは新緑の峡谷もまた違った趣で美しいことだろう。  
小安峡の地下では、熱源となるマグマが地表から3000m以上の深さに存在する。このマグマで上の岩盤が100〜250℃に温められ、さらに地下水を温め、岩盤の割れ目から熱水や熱い水蒸気を噴き出している。遠い昔の火山活動の名残がいまも地下で息づいている。  
小安峡の大噴湯については、江戸時代の紀行家・菅江真澄(すがえますみ)がここを訪れたときに絵を含めて記録に残している。  
文化11年(1814年)、菅江真澄が60歳のとき、小安温泉を訪れて大噴湯(地元では、からふけと呼ぶ)を「雪の出羽路」、「勝地臨毫(しょうちりんごう)」に克明に記録している。  
「湯が三、四丈(9m〜12m)も吹き上がり、滝の落ちる川を越えて向こうの岸の岩にあたり、霧となって散っていく。噴湯が岩の裂け目ごとに湯気の雲を湧き起こして、雷神のような響きを立て吹き上げるように湯が出ている。」  
平成17年(2005年)に測った大噴湯の温泉データでは、  
・泉温 91.3℃  
・湧出量 毎分223リットル  
とある。いま菅江真澄が描いた絵を見ると、ジェット噴水のように湯が噴き出しているので、当時は、いまよりもはるかに多い湯量で、すさまじい勢いで出ていたことがうかがえる。  
菅江真澄は秋田が好きで、何回となく訪れ、また長期間滞在して、当時の秋田の自然、風物について多くの記録を残している。  
文化8年(1811年)に真澄は、歴代藩主の中でも名君とされる佐竹義和(さたけよしまさ)に拝謁した。このとき義和から、出羽六郡の地誌を作って欲しいと頼まれている。この伝承は「菅江真澄遊覧記」の編者の一人である内田武志氏が奈良家の子孫の方から聞いたとある。  
 
湯沢を訪れた日は、朝酒田を出発して、昼頃に湯沢駅前に着いた。観光協会の方に教えていただいて、美味しい稲庭うどんのお店にみんなで食べに行った。暑い日だったので、みんな冷やしたうどんを食べる。腰があり、なめらかな食感でのど越しがよかった。  
湯沢駅に戻ると、その日のガイドを務めていただいた吉野弘子さんが薄絹の衣装をまとった姿でわれわれを出迎えてくれた。ここは小野小町の生まれた町で、わたしたち15名は、吉野さんから「美男・美女証明書」を一人一人受け取った。  
 
「秋田美人」といわれる。何で秋田には美人が多いのだろう。関ヶ原の戦いの後、常陸の国から出羽の国に移封された佐竹の殿様が、常陸の国から美人ばかりを連れてきた。秋田は日照時間が少ないので、紫外線に当たる時間が少なく、色白の人が多い。日本海に面する秋田は、古来大陸との人の交流も多かった。水が美味しい。温泉が多く、美肌効果がある。Etc.   
にわかには信じがたい説も含めて、諸説ふんぷんである。  
 
この後、ゆざわジオパークの阿部哲矢さんと吉野さん  
の二人でガイドをしていただいた。  
2台の車の中で、トランシーバを使いながら移動中に  
見かける建物や風景、歴史に関わるお話も聞いた。  
 
湯沢は水の名所である。各地に美味しい湧水があるが、  
湯沢駅からも近い「力水」と呼ばれる場所は、日本名水百選にも選ばれた有名な場所である。この湧水の傍らには、菅江真澄がここを訪れたときの句が石碑となっていた。  
「たのしさよ 千代もかはらずくみかわす 湯沢の里の春の盃」  
 天明5年(1785年)正月4日    
とある。  
お米がとれて、水が豊かで美味しいということは、昔から酒の醸造が盛んなところだった。  
湯沢を巡ったこの日は、秋田空港から新千歳空港に夜の便で戻る予定だった。予期せぬ出来事(千歳が濃霧で着陸不能)で千歳便が欠航になって、秋田駅前でもう一泊することになった。ホテルに着いてからみんなで近くに食事に行った。そこで初めに飲んだお酒が湯沢の「福小町」だった。さらりとした口当たりで美味しい。木のマスにグラスがあり、あふれるばかりに注いでくれたので、それもうれしかった。翌日秋田空港でおみやげをもとめるときに、この「福小町」と同じ秋田の由利本荘市の「雪の茅舎」を選んだ。  
 
平安時代の歌人小野小町は809年、湯沢市小野字桐木田生まれといわれている。幼いころから賢くて、10代で都にのぼり教養を身に付けた。宮中に仕えた小町はその美しさと優れた才能で、時の帝から寵愛を受けたが、36歳で宮中を退き、再び小野の里に戻ったといわれる。小町を想い追いかけてきた深草少将との「百夜通い(ももよがよい)」の逸話も残る。  
百人一首にも古今集に載った歌が選ばれている。  
「花の色は 移りにけりな いたづらに 我が身世にふる ながめせし間に」  
 
小安峡を見学した後、ソフトクリーム屋さんに寄った。地元で生産された牛乳は地熱を使って低温殺菌している。その牛乳で作ったソフトクリームで、これは美味しかった。わずかにざらっとした舌ざわりながら柔らかい。ソフトを買った人には、美男・美女証明書の効果だったのか、吉野さんの取り計らいだったのか、飲むヨーグルトがおまけに一本ついた。これも濃厚でまた美味しかった。白神山地の乳酸菌と麹が入っているとのことだった。  
この後、川原毛地獄という白い山肌が広がる地帯を見学した。火山性ガスで白くもろい岩石に変わり、草木の生えない景観が広がる。昔は硫黄の鉱山として稼働していたが、今はもう閉鎖されている。この日は夏のように暑く、青空が広がっていたので、白い山に青い空のコントラストが映えていた。  
 
今回ゆざわジオパークの一部を見せていただいただけなのだが、そこから感じるのは、  
湯沢の地下には太古の火山活動の息づかいともいうべき、巨大な蒸気機関が働いていて、その熱エネルギーが、小安峡の大噴湯、地熱発電、豊かな温泉、農業用ハウス・産業加工品への熱の供給などに生かされている、ということだ。  
湯沢のキャッチフレーズは 、  
“いにしえの火山のめぐみ あつき雪 いかして築く 歴史と暮らし”  
とある。確かにこの短い言葉に、湯沢の恵みと過去から未来への人々の暮らし向きが込められているように感じる。  
 
◆参考資料  
・ゆざわジオパークのパンフレット資料など  
・「街道をゆく29秋田県散歩」菅江真澄の項 司馬遼太郎  
・「秋田美人」ネット上で公開されている写真を使わせていただいた  
・秋田、湯沢を訪れたのは、2019年9月8日〜9日  
(2019-9-19記) 
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プロフィール
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2007年に横浜から夫婦で移住。趣味は自然観察/山登り、そしてスケッチやエッセーを書く・・・ 
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