■まだ役に立つ・・・らしい。
引越し間近のある日に、分厚い封書が配達された。 「なんだろうと?」と思い差出人を見ると、北海道大学と印刷されたA4版の封筒であった。
そこで思い出した。
昨年の夏にコテージにいたら、北海道大学のS教授から電話があった。
私は大学教授に知り合いがいるほどの知識人ではない。
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S教授は伊達市役所のAさんからの紹介だと名乗り、『環境省の依頼で、これからの低炭素時代の農村のあり方を研究発表するのだが、橋本さんには伊達市での長期滞在の体験を通して低炭素社会の提言を行って欲しい。それを本にして出版します』というとんでもない依頼であった。
しかも、原稿の提出は電話のあった1日後だという。
引退オヤジの私には、テーマが壮大だし、期限が短か過ぎる。
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でも、少しでもお役に立てるならと思い、受けることにした。
そして、約800字の原稿を北海道大学にメールで送信した。
この何年かは、世の中のお役に立ったという記憶が無い。
邪魔物扱いをされることは日常茶飯事で、もう慣れた。
そんな日常生活の中で、私の意見も載った「都市・農村連携と低炭素社会のエコデザイン」という本が3冊も届いたのである。
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執筆者は20数名の大学教授で、いわゆる専門書である。
定価は2700円と、かなり高価な本である。
原稿を出して半年にもなるが、忘れた頃に本になった。
今でも多少は世間のお役に立てるのかと思うと、嬉しい。
原稿がボツになっていないところを見ると、「役に立った」と思いたい。
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(おまけの話)
私がお役に立つことは滅多に無いが、今回の引越しでは、かなりお役に立ったようだ。
正しく言うと、「私の持っていた物がお役に立った」のである。
捨てるのは勿体ないと思い、引越し先に持って行けない品物をもらってくれる人を探した。
すると、必要な人もいるようで、お互いに助かった。
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その品物を列記すると、洋服ダンス2棹、大型食器棚、エアコン3台、ソファ2脚、洗濯機、電子レンジ、食堂テーブル、椅子4脚、サイドテーブル4台、業務用冷蔵庫、5.1サラウンド・サウンドシステム、カラオケセット、レンジフード、ベッド1台、その他。
もらってくれる人がいなければ、粗大ゴミとなるところだった。引越し業者が少しビックリして言っていた。
『家具や電化製品の無い引越しは珍しい』。