■ちらちらと、ぽつぽつと、灯りがともる。
昨日の秋分は、昼と夜の長さがほとんど同じだったらしい。 だから。
今日から冬至まで、夜が日増しに長くなる。
昼は日増しに短くなる。
そして日増しに寒くなる。
朝5時。
西の空に回った満月がまだ明るかった。
なんだか寂しい。
ちょっぴり心細い。
わけもなく不安で落ち着かない気分になるこの季節。
きらい…。
…でも好き。
なんのこっちゃ・・・。
21日の初冠雪の便りを聞いて、頭のスイッチが少し動いた。
もう冬のことを考えなければいけない時期なんだ…。
影むしゃが言った。
「外は冬の匂いがする。」
冬に敏感な影むしゃは校長の顔を覗かせている。
あっちとこっち。
色々な準備が重なるこの時期は、妙に気忙しくてシンドイ…。
はぁ~っと溜息。
いやだなぁ…。
…でも嬉しい。
なんのこっちゃ・・・。
そんな私のややこしい心に灯りがともった。
暗い時間が長くなる頃に灯る木々の灯り。
どの樹も迷うことなく秋~冬へのスイッチを入れる。
葉はまだ青く残して、実はなお紅くして。
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「木ばかりじゃないわ。」
そう聞こえた気がして足元を見た。
すずらん。
「そう。あなたも灯りをともしたのね。」
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そうよね。
ありがとう。
灯りがあればもう迷わない。